保証契約・連帯保証の注意点、民法改正で何が変わったのか

保証契約・連帯保証の注意点、民法改正で何が変わったのか|フロル行政書士事務所

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フロル行政書士事務所(横浜)
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「知人の会社の連帯保証人になってほしいと頼まれたのですが、引き受けても大丈夫でしょうか」

こうしたご相談を受けることがあります。保証契約、特に連帯保証は、保証人にとって非常に重い責任を負う契約です。2020年に施行された改正民法では、保証人を保護するためのルールがいくつも追加されました。今回は、保証契約の基本的な仕組みと、民法改正によって変わったポイントを整理してご紹介します。

所長 フロル

保証契約って、頼まれるままにハンコを押してしまいがちですが、実はとても重い責任を負う契約なんです。民法改正でどう変わったのか、一緒に確認していきましょう!

目次

保証契約とは何か

保証契約とは、主たる債務者(お金を借りた人など)が債務を履行しない場合に、保証人がその債務を履行する責任を負う契約です(民法446条)。保証契約は、書面(または電磁的記録)で行わなければ効力を生じないと明記されており、口約束だけでは成立しません。これは、保証人が安易に重い責任を負わされることを防ぐための規定です。

保証には、大きく分けて「単純保証」と「連帯保証」があります。

  • 単純保証
    保証人は、債権者からいきなり請求された場合、まず主たる債務者に請求するよう主張できる「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」を持ちます
  • 連帯保証
    これらの抗弁権が認められず、債権者は主たる債務者に請求することなく、いきなり連帯保証人に全額を請求することができます

実務上、事業融資などの場面ではほとんどのケースで連帯保証が用いられるため、連帯保証人になることの重さを正しく理解しておくことが重要です。

民法改正で変わったポイント①:個人根保証の極度額

賃貸借契約における家賃保証や、事業資金の融資に対する保証など、「今後発生する不特定の債務」をまとめて保証する契約を「根保証」と呼びます。改正前の民法では、個人が根保証人になる場合の上限額(極度額)を定める義務は、貸金等根保証契約にしか課されていませんでした。

改正民法では、この極度額を定める義務の対象が、個人が保証人となる根保証契約全般(賃貸借契約の保証も含む)に拡大されました(民法465条の2)。極度額を書面で定めていない個人根保証契約は無効となるため、賃貸借契約書等で保証人欄に署名する際は、極度額の記載があるかどうかを必ず確認する必要があります。

よくある事例:
賃貸物件の連帯保証人になった際、契約書に極度額の記載がなかったケースがあります。この場合、保証契約自体が民法上無効となる可能性があるため、貸主・借主双方にとって思わぬトラブルの原因になり得ます。契約書のひな形が改正前のまま更新されていないケースは、今でも見受けられます。

民法改正で変わったポイント②:事業用融資の個人保証には公正証書が必要に

事業のために負担する貸金等債務について、経営者以外の第三者(親族や知人など)が個人保証人になる場合、改正民法では保証契約締結の前1か月以内に、保証人が公証人の面前で保証意思を確認され、公正証書を作成することが必要とされました(民法465条の6)。

これは、「頼まれるままに安易に保証人になってしまい、後から重い債務を背負わされる」という被害を防ぐための規定です。公正証書の作成なしに締結された該当の保証契約は無効となります。ただし、この規定は経営者本人や、主債務者と一定の密接な関係にある人(議決権の過半数を有する株主等)が保証人になる場合には適用されません。

民法改正で変わったポイント③:保証人への情報提供義務

改正民法では、保証人になろうとする人・すでに保証人になっている人を保護するための情報提供義務が新設されました。

  • 契約締結時の情報提供義務(民法465条の10):
    事業のための債務を保証する場合、主たる債務者は、保証人になろうとする人に対して、財産状況や他の債務の有無等の情報を提供する義務を負います。この情報提供がなされず、誤解に基づいて保証契約を締結した場合、保証人は契約を取り消せることがあります。
  • 履行状況に関する情報提供義務(民法458条の2):
    保証人から請求があった場合、債権者は主たる債務の履行状況(残額、延滞の有無等)について情報を提供する義務を負います。
  • 期限の利益喪失時の情報提供義務(民法458条の3):
    主たる債務者が期限の利益を失った場合、債権者は一定期間内に保証人にその旨を通知する義務を負います。通知を怠ると、遅延損害金の一部について保証人に請求できなくなります。

これらの規定により、保証人が「知らないうちに債務が膨らんでいた」という事態を防ぐ仕組みが強化されています。

よくある事例:
知人の事業資金の連帯保証人になった際、主たる債務者の財産状況について何も説明を受けないまま契約書に署名したケースがあります。後になって、実は他にも多額の負債があったことが判明し、情報提供義務違反を理由に保証契約の取消しを主張できるかどうかが争点になりました。契約前にどこまで説明を受けたかが、後の対応を大きく左右します。

連帯保証人になる前に確認すべきポイント

  • 極度額が明記されているか(根保証の場合)
  • 事業用融資の保証であれば、公正証書の作成手続きを踏んでいるか
  • 主たる債務者の財産状況等について、事前に十分な説明を受けているか
  • 自分が経営者本人や、議決権の過半数を持つ株主等に該当しないか(該当する場合は公正証書の適用除外)
  • そもそも、その保証を引き受けることが自分にとってどの程度のリスクを伴うのか

連帯保証は、想像以上に重い責任を伴う契約です。 「関係性があるから」「少額だから」といった理由だけで安易に引き受けるのではなく、契約内容を正確に理解したうえで判断することが重要です。

よくある質問(Q&A)

Q. すでに保証人になっている契約について、後から極度額の記載がないことに気づいた場合、どうすればいいですか?
A. 個人根保証契約で極度額の定めがない場合、その契約自体が無効となる可能性があります。ただし、個別の契約内容や締結時期によって扱いが異なるため、専門家に相談して契約書の内容を確認することをおすすめします。

Q. 公正証書の作成が必要な保証契約なのに、それをせずに契約してしまった場合はどうなりますか?
A. 該当する保証契約は無効となります。ただし、経営者本人等、適用除外に当たる場合は公正証書は不要ですので、まずは自分がどの立場に当たるかを確認する必要があります。

Q. 保証人になった後で、主たる債務者の状況が心配な場合、何かできることはありますか?
A. 民法458条の2に基づき、債権者に対して主たる債務の履行状況について情報提供を請求することができます。不安がある場合は、早めに確認しておくことをおすすめします。

行政書士に相談するメリット

保証契約、特に連帯保証は、契約書の文言だけでは重要なポイント(極度額の有無、公正証書の要否等)を見落としがちな契約類型です。契約書を作成・確認する段階で専門家のチェックを受けることで、無効な契約を締結してしまうリスクや、後から思わぬ負担を負うリスクを減らすことができます。保証契約書の作成・確認でお困りの際は、ぜひご相談ください。

まとめ

保証契約、特に連帯保証は、保証人に非常に重い責任を負わせる契約です。2020年の民法改正では、個人根保証の極度額の明記、事業用融資における第三者保証への公正証書の要求、保証人への情報提供義務など、保証人を保護するための仕組みが数多く追加されました。連帯保証人になることを頼まれた際は、これらのルールが守られているかを確認し、安易に引き受けないことが重要です。

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本記事は令和8年8月時点の情報に基づいて作成しています。民法や関連法令は改正される場合がありますので、実際の契約実務にあたっては、必ず最新の法令をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の契約の有効性を保証するものではありません。


廣岡 慶之
フロル行政書士事務所 代表行政書士
フロル行政書士事務所 代表行政書士の廣岡慶之です。鉄道会社にて駅工事設計・官公署との調整など安全運行を支える業務に従事。その後、コンサルティング会社勤務を経て行政書士として独立。行政書士のほか、FP・IT資格・簿記を保有し、手続き支援にとどまらない経営・資産形成アドバイスが強みです。「想いを形に。未来を設計する。」をモットーに、起業から人生設計まで伴走型でサポートします。
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