【補助金】神奈川県賃金アップ支援金、最大500万円(複数事業所の場合は最大3,000万円)の交付を受けるための要件と注意点

【補助金】神奈川県賃金アップ支援金、最大500万円|フロル行政書士事務所

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フロル行政書士事務所(横浜)
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「賃上げしたいのは山々なんですが、正直、原資が厳しくて……」

こうした声を、多くの中小企業の経営者から聞きます。神奈川県では、こうした賃上げに取り組む事業者を後押しするため、「神奈川県賃金アップ支援金」という制度を実施しています。最大500万円(複数事業所の場合は最大3,000万円)という規模の支援金でありながら、申請できる期間や要件が細かく定められているため、「気づいたら要件を満たせなくなっていた」という事態も起こり得ます。

今回は、神奈川県賃金アップ支援金の制度概要と、申請にあたって押さえておきたいポイントを整理してご紹介します。


所長 フロル

最大500万円って聞くと、まず”うちも対象かな?”ってワクワクしますよね(笑) でも要件がなかなか細かいので、そこは落ち着いて一緒に確認していきましょう!


目次

神奈川県賃金アップ支援金とは

本支援金は、人件費の上昇や物価高騰の中でも賃上げに取り組む中小企業者等を支援し、賃上げに向けた機運を醸成することを目的とした、神奈川県の事業です(国の重点支援地方交付金を活用)。県内に事業所を有する中小企業者等が、令和8年4月1日から同年9月30日の期間に、対象となる従業員の賃金を一定額以上引き上げた場合、その実績に応じて支援金が交付されます。

交付対象となる事業者の要件

支援金の交付対象となるには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 神奈川県内に事業所を有する中小企業者等であること
    業種ごとに定められた資本金または従業員数の基準(例:製造業・建設業等は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下など)を満たす必要があります
  • 労働基準関係法令違反に係る公表事案に該当しないこと
    申請日時点で、労働局による違反公表の対象になっていないこと
  • 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する一定の営業を行っていないこと
    接待飲食等営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業に該当しないこと
  • 暴力団排除要件を満たすこと
    事業者・役員が暴力団員に該当しないこと(県警への照会が行われます)
  • 労働関係法令で使用者に課された義務に対する措置を講じていること

よくある事例
業種の判定を誤り、「製造業」の基準(資本金3億円以下・従業員300人以下)で申請可能と考えていたところ、実際には日本標準産業分類上「卸売業」に区分される事業内容であり、より厳しい基準(資本金1億円以下・従業員100人以下)が適用されることが判明したケースがあります。自社の主たる事業がどの業種区分に該当するかは、申請前に必ず確認しておく必要があります。

交付対象となる従業員の要件

支援金の対象となる従業員は、次の2つの要件をいずれも満たす方に限られます。

  • 県内事業所に勤務する雇用保険被保険者、またはこれに準ずる者であること
    「これに準ずる者」は、①週の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある昼間学生、②障害者雇用促進法上の特定短時間労働者(対象障害者)等、に限定されます
  • 引上げ前の1時間当たりの賃金が1,500円未満であること
    賃金の算出方法は、最低賃金の計算方法と同一とされており、基本給に加え、毎月固定的に支給される諸手当を含めて算出します

1時間当たりの賃金の算出は、月給制・日給制・時給制でそれぞれ計算式が異なります。 月給制であれば「(基本給+対象諸手当)÷1か月平均所定労働時間」、時給制であれば「時間給+対象諸手当(時給換算)」という形で計算するため、この部分を誤ると、そもそも対象従業員の判定自体がずれてしまいます。

賃金の引上げに関する要件

賃金の引上げについては、次の2点が必須要件です。

  • 引上げの適用日が、令和8年4月1日から同年9月30日の期間内であること(かつ、申請日時点で引上げが継続していること)
  • 対象従業員の1時間当たりの賃金を「50円以上」(申請区分1)または「100円以上」(申請区分2)引き上げること

ここで特に注意が必要なのは、申請区分の選び方です。 個々の従業員によって賃上げ額が異なる場合であっても、複数の申請区分を組み合わせて申請することはできません。「申請区分2」(100円以上)で申請するには、対象とするすべての従業員について100円以上の引上げが必要であり、1人でも100円未満の引上げにとどまる従業員がいる場合は、「申請区分1」(50円以上)を選択することになります。

よくある事例
従業員4名のうち3名は100円以上、1名は70円の引上げにとどまっていたにもかかわらず、「平均すれば100円を超えるから」という誤解のもとに申請区分2で申請しようとしていたケースがあります。要件を確認したところ、区分2は「すべての従業員が100円以上」であることが必要と分かり、区分1(50円以上)での申請に切り替えることになりました。申請額も、区分ごとに従業員一人当たりの交付額(区分1は5万円、区分2は10万円)が異なるため、この判断は申請額全体に直結します。

交付額の考え方

交付額は、選択した申請区分と、対象となる従業員数によって決まります。

  • 申請区分1(50円以上):従業員一人当たり5万円。1事業者当たり上限250万円(50人分)。複数事業所を有する場合、1事業所当たり50人を超えない範囲で合算し、最大1,500万円(300人分)
  • 申請区分2(100円以上):従業員一人当たり10万円。1事業者当たり上限500万円(50人分)。複数事業所を有する場合、同様に最大3,000万円(300人分)

複数の事業所を有する事業者は、1事業所当たりの交付対象人数が50人を超える部分は切り捨てられる一方、それ以外の事業所の人数と合算して、事業者全体で最大300人分まで申請できる仕組みになっています。事業所ごとの人数配分によって申請可能な人数が変わるため、複数拠点を持つ事業者は、事業所別に対象人数を整理しておくことをおすすめします。

申請回数・申請単位に関する注意点

この支援金は、1事業者につき1回限りの申請しかできません。賃金引上げの実施期間内に、複数回に分けて賃金を改定した場合(例:5月に70円、8月に40円引き上げた場合)であっても、最も遅い適用日の賃金支払いが完了した後に、まとめて1回で申請する必要があります。 複数回に分けて申請することはできない点に注意が必要です。

また、県内に複数の事業所を有する事業者は、本社が一括して申請することになっています(本社が県外にある場合でも申請は可能です)。

必要書類と申請方法

申請は電子申請のみで受け付けられており、専用サイトから行います。主な必要書類は次の通りです。

  • 交付申請書兼実績報告書(様式1)
  • 役員等氏名一覧表(様式2)
  • 支援金振込口座(様式3)及び通帳の写し
  • 賃金チェックシート(対象となるすべての従業員分の入力が必要)
  • 商業・法人登記簿謄本の写し等(法人の場合)/本人確認書類の写し(個人事業主の場合)
  • 各従業員の雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)の写し
  • 各従業員の賃金台帳の写し(原則、令和8年3月分・賃上げ適用月分・申請直近月分の3か月分)
  • 神奈川県税に未納がないことを証明する書類(申請日から1か月以内に発行されたもの。国税・市町村税ではなく、県税の納税証明書である点に注意)

書類に不備があった場合、事務局から補正の依頼がありますが、補正期間は最大3週間とされ、それを過ぎると提出済みの書類を基に再審査が行われます。 特に賃金台帳や雇用保険被保険者資格取得等確認通知書は、対象となるすべての従業員分をそろえる必要があり、準備に時間がかかりやすい書類です。申請期限(令和8年12月4日)は予算額に達し次第、期限前でも受付終了となるため、余裕を持った準備が重要です。

よくある質問(Q&A)

Q. 個々の従業員で賃上げ額にばらつきがある場合、どう考えればいいですか?
A. 対象とする従業員全員が要件を満たす区分(申請区分1または2)を選ぶ必要があります。一部の従業員だけ引上げ額が高くても、平均や合計で判断することはできません。

Q. すでに賃上げを実施済みですが、賃上げの証拠となる書類は何が必要ですか?
A. 令和8年3月31日を含む月、賃上げ適用日を含む月、申請直近の月、原則としてこの3か月分の賃金台帳の写しが必要です(適用日を含む月と直近月が同月の場合は2か月分)。

Q. 賃金台帳や雇用保険関連の書類の整備に不安があります。誰に相談すればいいですか?
A. 賃金台帳の作成・整備や、雇用保険の手続きに関する事項は社会保険労務士の業務範囲に該当します。当事務所では、申請書類の整備・提出のサポートを行いつつ、賃金計算や労務管理の詳細については、社会保険労務士と連携しながら対応することが可能です。

行政書士に相談するメリット

本支援金は、対象要件・申請区分の判定・必要書類のそろえ方など、確認すべきポイントが多岐にわたります。特に、業種区分の判定や、賃金の算出方法、複数事業所がある場合の申請単位の考え方は、誤ると申請自体ができなくなったり、想定していた交付額に届かなかったりするリスクがあります。申請書類の準備、要件の確認については、早めに専門家にご相談いただくことをおすすめします。なお、賃金計算や雇用保険手続きなど、社会保険労務士の業務範囲に関わる部分については、社会保険労務士と連携しながら対応いたします。

まとめ

神奈川県賃金アップ支援金は、最大500万円(複数事業所の場合は最大3,000万円)という規模の支援金である一方、対象事業者・対象従業員・賃上げ内容それぞれについて細かい要件が定められています。特に、申請区分は従業員ごとに使い分けることができず、1事業者1回限りの申請しかできないという点は、申請額に直結する重要なポイントです。申請期限(令和8年12月4日)は予算に達し次第終了となるため、早めの準備をおすすめします。

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本記事は令和8年8月時点の情報に基づいて作成しています。神奈川県賃金アップ支援金の制度内容は変更される場合がありますので、実際の申請にあたっては、必ず最新の申請要領・専用サイトの情報をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の交付可否・交付額を保証するものではありません。なお、賃金計算や雇用保険手続き等、社会保険労務士の業務範囲に該当する事項については、社会保険労務士にご相談ください。


廣岡 慶之
フロル行政書士事務所 代表行政書士
フロル行政書士事務所 代表行政書士の廣岡慶之です。鉄道会社にて駅工事設計・官公署との調整など安全運行を支える業務に従事。その後、コンサルティング会社勤務を経て行政書士として独立。行政書士のほか、FP・IT資格・簿記を保有し、手続き支援にとどまらない経営・資産形成アドバイスが強みです。「想いを形に。未来を設計する。」をモットーに、起業から人生設計まで伴走型でサポートします。
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