【許認可】風俗営業の後、深夜も営業したい?「二部営業」の考え方と注意点

【許認可】風俗営業の後、深夜も営業したい?「二部営業」の考え方と注意点|フロル行政書士事務所

✏️ この記事の執筆者

フロル行政書士事務所(横浜)
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「20時から24時までは接客ありのお店として、24時以降は看板を変えて深夜営業を続けたいんですが、できますか?」

このような、いわゆる「二部営業」に関するご相談を受けることがあります。同じ店舗で、時間帯によって営業形態を切り替えたいというニーズは実際にありますが、風営法上、風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業を組み合わせる形の二部営業は、実務上かなり慎重な対応が求められる領域です。

今回は、なぜこの組み合わせが難しいとされているのか、その理由と、検討する際に押さえておくべきポイントを整理してご紹介します。


所長 フロル

「”時間で看板を掛け替える”という発想自体はよく聞かれるんですが、風営法の世界ではこれがかなりデリケートな話なんです。表面的な理解で進めると危険なので、丁寧に見ていきましょう」


目次

そもそも風俗営業と深夜営業は両立しない

以前の記事でも触れましたが、大前提として、風俗営業許可を取得している業態は、原則として深夜0時以降の営業ができません。 風営法では、風俗営業(社交飲食店営業等)の営業時間が制限されており、深夜0時(地域によっては条例でさらに早い時刻)以降は営業できないルールになっています。

一方、接待を伴わない業態であれば、深夜酒類提供飲食店営業の届出を行うことで、深夜0時以降も酒類を提供する営業が可能です。

この2つの制度を組み合わせて、「前半は接待ありの風俗営業、後半は接待なしの深夜営業」という形で1日の中で営業形態を切り替えることを、一般に「二部営業」と呼びます。

なお、風俗営業の営業終了時刻は、都道府県の条例によって24時より前に定められている地域もあります。神奈川県内で営業する場合も、地域や条例の内容によって具体的な終了時刻が異なるため、実際に検討する際は必ず該当する条例を確認する必要があります。

なぜ二部営業が問題視されやすいのか

二部営業という営業スタイル自体が法律上明確に禁止されているわけではありません。しかし、実務上は所轄警察署から極めて厳しい目で見られる領域です。その理由は、「実質的に風俗営業の時間を延長しているだけではないか」という疑いを持たれやすいからです。

風営法が風俗営業の営業時間を制限している趣旨は、深夜帯における接待飲食等営業が周辺環境や善良な風俗に与える影響を抑えることにあります。もし「看板を掛け替えるだけ」で実質的に同じような営業(同じスタッフ、同じ客層、なんとなく続く接客の雰囲気)が深夜も続いているとみなされれば、この趣旨を潜脱する行為として、深夜酒類提供飲食店営業の届出自体が無効とされたり、行政指導・処分の対象になったりする可能性があります。

よくある事例: 風俗営業の営業終了時刻である24時をもって一旦「閉店」とし、届出上は深夜酒類提供飲食店営業として再オープンする形を取っていたものの、実態としてはスタッフも客も入れ替わらず、接客の雰囲気もそのまま継続していたケースがあります。警察の立ち入り調査の結果、実質的な風俗営業時間の延長と判断され、深夜営業について是正指導を受けることになりました。

二部営業を検討する際に整理すべきポイント

もし二部営業に近い形態を検討する場合、少なくとも次のような点について、実態として明確に区別できることが求められます。

  • 営業の完全な切り替え
    前半営業が終了した時点で、実質的に「閉店」といえる状態を作れているか(客を一度完全に退店させる、看板・照明を切り替えるなど)
  • 接客内容の明確な違い
    後半の営業では、接待に該当する行為(客席への同席、お酌等)を一切行わない体制になっているか
  • スタッフ・客層の実態
    前半と後半で、実質的に同じ雰囲気の営業が継続しているとみなされないか
  • 経理・労務上の区分
    前半・後半で売上や勤務時間の区分が明確にできているか

これらが曖昧なまま「制度上は別営業だから大丈夫」という考え方で進めてしまうと、後から実態を問われた際に説明ができなくなってしまいます。

現実的な選択肢の整理

二部営業を検討する事業者の方には、実務上、次のような選択肢を提示することが多くあります。

  1. 風俗営業(接待あり・24時まで)に一本化する:深夜営業は諦め、接待を伴う営業に特化する
  2. 深夜酒類提供飲食店営業(接待なし・深夜可)に一本化する:接待は行わず、営業時間の長さを優先する
  3. 形式的にも実態的にも明確に区分した二部営業を、慎重に設計する:ハードルは高いが、営業終了・スタッフ交代・接客内容の切り替えを徹底できる場合に限り検討する

多くのケースでは、①か②のどちらかに絞る方が、行政リスクを抑えながら安定した営業を続けやすい傾向にあります。③を選ぶ場合は、開業前の段階で所轄警察署に十分な事前相談を行い、実態面の設計についても専門家を交えて詰めておくことが不可欠です。

開業前の事前相談がなぜ重要なのか

風俗営業に関する許可・届出の審査や運用は、法令の条文だけでなく、所轄警察署ごとの実務上の運用に左右される部分が少なくありません。特に二部営業のように、法令上明確な線引きがされていない営業形態については、「書類上は問題ないはずだから進めてしまう」という進め方が最もリスクの高いパターンです。

事前相談の段階で、営業時間の切り替え方法、スタッフの配置、店舗の構造といった具体的な運用イメージを警察署の担当者に伝え、懸念点があれば早期に洗い出しておくことで、開業後のトラブルを大きく減らすことができます。事前相談には一定の準備(説明資料の用意、店舗図面の準備等)が必要になるため、開業スケジュールに余裕を持たせておくことも重要です。

よくある質問(Q&A)

Q. 店舗のフロアを完全に分けて、1階を風俗営業、2階を深夜酒類提供飲食店営業とすることはできますか?
A. 物理的に独立した店舗として扱えるかどうかがポイントになります。入口や客席の動線が共有されている場合、実質的に同一営業とみなされる可能性があるため、フロアを分けるだけで解決するとは限りません。個別の店舗構造をもとに、所轄警察署への確認が必要です。

Q. 深夜酒類提供飲食店営業の届出だけを行い、実際には接待をしないようにすれば問題ないのでは?
A. 届出上・建前上の話ではなく、実際の営業実態が問われます。届出内容と実態が異なると判断されれば、届出自体の適法性が問われることになります。

Q. 二部営業を実施している他店を見かけますが、なぜ問題にならないのですか?
A. 表面的に問題が顕在化していないだけで、行政指導のリスクを抱えたまま営業しているケースも少なくありません。他店の運用をそのまま参考にすることは推奨できず、自店の状況に即して個別に確認することが重要です。

他店が問題になっていないように見えるのは、単に摘発されていない(グレーな状態のまま泳がされている)だけか、あるいは『昼はカフェ、夜はバー』のように接待を一切伴わない完全に別の営業形態として、スタッフも完全に総入れ替わりで運営しているようなケースです。お酌や席への同席がある業態での二部営業は、他店がやっていても真似するのは非常に危険です。

行政書士に相談するメリット

二部営業の可否は、営業時間の制度上の整理だけでなく、実際の店舗運用・スタッフ体制・接客内容といった実態面まで含めて検討する必要があり、判断が非常に難しい領域です。安易に「制度上は別々だから大丈夫」と進めてしまうと、後から大きな行政リスクを抱えることになりかねません。営業形態を検討する初期段階から専門家に相談し、所轄警察署への事前相談も含めて、リスクを抑えた形で計画を立てることをおすすめします。

まとめ

風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業を組み合わせる「二部営業」は、制度上禁止と明記されているわけではないものの、実務上は「風俗営業時間の実質的な延長」とみなされるリスクが高く、慎重な検討が必要な領域です。営業の切り替えを実態として明確に区別できない限り、行政指導や届出の無効化といったリスクを抱えることになります。深夜営業を含めた事業計画を検討する際は、開業前の段階で専門家や所轄警察署に相談することを強くおすすめします。

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免責事項

本記事は令和8年7月時点の情報に基づいて作成しています。風営法や関連条例、所轄警察署の運用は変わる場合がありますので、実際の営業形態の検討にあたっては、必ず所轄警察署への事前相談と最新の法令をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の適法性を保証するものではありません。


廣岡 慶之
フロル行政書士事務所 代表行政書士
フロル行政書士事務所 代表行政書士の廣岡慶之です。鉄道会社にて駅工事設計・官公署との調整など安全運行を支える業務に従事。その後、コンサルティング会社勤務を経て行政書士として独立。行政書士のほか、FP・IT資格・簿記を保有し、手続き支援にとどまらない経営・資産形成アドバイスが強みです。「想いを形に。未来を設計する。」をモットーに、起業から人生設計まで伴走型でサポートします。
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