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フロル行政書士事務所(横浜)
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「行政書士に依頼するのは、委任契約なんですか?それとも請負契約なんですか?」
契約の種類について、こうした質問を受けることがあります。実務上あまり意識されることは多くありませんが、依頼している業務が委任契約なのか請負契約なのかによって、報酬の考え方や責任の範囲が大きく変わってきます。
今回は、民法上の委任契約と請負契約の違いを整理しながら、行政書士業務がどちらに位置づけられるのか、依頼者にとってどんな意味を持つのかをご紹介します。
所長 フロル委任と請負、似ているようで実は法律上の性質がかなり違うんです。行政書士の仕事がどちらに当たるのか、依頼する側にとってなぜ重要なのか、一緒に見ていきましょう!
委任契約とは、民法643条により、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約です。弁護士や行政書士への依頼、税理士への依頼などは、多くの場合この委任契約(法律行為でない事務の委託は「準委任契約」)に該当します。
委任契約の大きな特徴は、「仕事の完成」ではなく「委任された事務を誠実に遂行すること」自体が契約の目的になっているという点です。受任者は、委任者に対して「善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務」(善管注意義務、民法644条)を負いますが、必ずしも一定の結果を保証する義務までは負いません。
これに対して請負契約は、民法632条により、当事者の一方(請負人)がある仕事を完成することを約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって成立する契約です。建築工事や、成果物の納品を伴う制作業務などが典型例です。
請負契約の大きな特徴は、「仕事を完成させること」自体が契約の目的になっているという点です。請負人は、完成した仕事の結果について責任を負い、契約内容に適合しない仕事の結果(契約不適合)があった場合には、追完請求や損害賠償請求の対象になり得ます(民法559条・562条以下の準用)。
この根拠となっている559条・562条は、もともと売買契約における「契約不適合責任」を定めた条文です。559条は、これらの規定を売買以外の有償契約(請負契約もその一つ)にも準用すると定めており、これによって請負契約にも契約不適合責任のルールが及ぶことになります。具体的には、完成した建物に欠陥があった、納品された成果物が仕様と異なっていたといった場合、注文者は請負人に対して次のような請求ができます。
以前の民法(2020年施行の改正前)では、請負契約に独自の「瑕疵担保責任」という制度が定められていましたが、改正民法ではこれが売買契約の契約不適合責任に統一される形で整理されました。この改正により、請負契約における責任の考え方が、他の有償契約と共通のルールで説明できるようになっています。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
つまり、「頼んだことをきちんと誠実にやってもらえたか」が問われるのが委任、「約束した成果物・結果が実際に出てきたか」が問われるのが請負、というイメージです。
よくある事例:
ある事業者が「絶対に許可が取れる前提」で行政書士に許可申請を依頼し、結果的に不許可となったケースがあります。行政書士業務は委任契約(準委任契約)であるため、行政書士は適正な申請書類の作成・提出という事務を誠実に行う義務を負いますが、許可を取得できるという結果そのものを保証する義務までは負いません。この点の認識のズレから、依頼者とのトラブルに発展しかけたケースがありました。
基本的には、行政書士が行う許認可申請の代理、書類作成業務は、法律上、委任契約に位置づけられます。これは、弁護士や税理士など、他の専門家への依頼と共通する性質です。
このことから、次のような点が実務上重要になります。
依頼者としては、「お金を払ったのだから絶対に許可が取れるはず」という誤解を持たないことが重要です。一方で専門家側も、この誤解を防ぐために、契約内容や業務範囲、報酬の条件について、依頼時にきちんと説明しておくことが求められます。
行政書士業務の中には、成果物の納品自体に重きが置かれる業務(例:図面の作成、報告書の作成など)が含まれる場合、その部分については請負契約的な性質を帯びることもあります。契約書を作成する際は、業務内容によって委任的な性質が強いのか、請負的な性質が強いのかを踏まえ、報酬の発生条件や責任の範囲を明確にしておくことが望ましいといえます。
よくある事例:
風俗営業許可申請にあたり、店舗の平面図・求積図の作成を依頼された際、この部分は成果物としての図面の完成に重きが置かれるため、請負契約に近い性質を持つと整理して契約書を作成したケースがあります。許可申請の代理業務(委任的性質)と、図面作成業務(請負的性質)を業務委託契約書の中で分けて記載することで、双方の認識のズレを防ぐことができました。
Q. 行政書士に依頼したのに許可が下りなかった場合、報酬は返してもらえますか?
A. 契約内容によります。委任契約の性質上、原則として事務の遂行(適正な申請)に対して報酬が発生するため、不許可になったからといって当然に返金されるわけではありません。ただし、行政書士側に明らかな注意義務違反(書類の不備等)があった場合は、話が別になることがあります。契約時に報酬の条件を確認しておくことが重要です。
Q. 「成功報酬制」の行政書士事務所もありますが、これは委任契約ではないのですか?
A. 成功報酬制であっても、法的性質としては委任契約(準委任契約)であることに変わりはありません。ただし、報酬の支払い条件を「許可取得」という結果に紐づける特約(成果完成型の委任)を契約書に定めている、という位置づけになります。
Q. 委任契約はいつでも解除できるとのことですが、依頼者側から一方的に解除しても問題ありませんか?
A. 民法上、委任契約は各当事者がいつでも解除できるとされていますが、相手方に不利な時期に解除した場合は損害賠償義務を負うことがあります(民法651条2項)。実務上は、契約書に解除に関する取り決め(清算方法等)を定めておくことが一般的です。
委任契約と請負契約の違いを理解しておくことは、専門家に業務を依頼する際の「期待値のズレ」を防ぐうえで重要です。特に、成果物の納品を伴う業務を依頼する場合は、報酬の発生条件や責任の範囲について、契約段階で明確にしておくことをおすすめします。契約書の作成やチェックでお困りの際は、行政書士にご相談ください。
委任契約は「事務処理そのもの」、請負契約は「仕事の完成」を目的とする契約であり、行政書士業務は原則として委任契約(準委任契約)に位置づけられます。 そのため、行政書士は適正な事務処理を誠実に行う義務(善管注意義務)を負いますが、許可・認可等の結果そのものを保証するものではありません。この違いを依頼者・専門家の双方が正しく理解しておくことが、契約に関するトラブルを防ぐための第一歩になります。
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本記事は令和8年8月時点の情報に基づいて作成しています。民法や関連法令は改正される場合がありますので、実際の契約実務にあたっては、必ず最新の法令をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の契約の性質・効力を保証するものではありません。

