貨物利用運送事業とは?一般貨物運送事業との違い

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✏️ この記事の執筆者

フロル行政書士事務所(横浜)
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「トラックを持たずに運送業を始めたいけど、そんなことが法律的にできるの?」
「貨物利用運送事業と一般貨物自動車運送事業、名前が似ていて何が違うのか分からない…」
「開業を調べていたら『登録』と『許可』、両方の言葉が出てきて頭がこんがらがってきた」

物流業界への新規参入を検討する際、多くの方が最初につまずくのが、この「貨物利用運送事業」と「一般貨物自動車運送事業」の違いです。名前は似ていますが、根拠となる法律も、必要な手続きも、事業として揃えるべき設備も全く異なります。今回は、この2つの事業形態の違いを整理しながら、それぞれの許可・登録の流れや注意点を行政書士の視点で解説します。

所長 フロル

「利用運送」と聞くと難しそうですが、ざっくり言えば「自分のトラックで運ぶか、他社に運送を委託して運ぶか」の違いなんです。ここさえ押さえれば、あとはスルスル理解できますよ!

目次

貨物利用運送事業とは

貨物利用運送事業とは、自らはトラック・船舶・航空機・鉄道などの輸送手段を保有せず、荷主から運送の依頼を受けて、実際の輸送は他の運送事業者(実運送事業者)に委託する事業のことです。根拠法は「貨物利用運送事業法」で、契約上は荷主に対して運送を引き受ける当事者(利用運送人)となる点が最大の特徴です。荷主から見ると、窓口となる利用運送事業者に依頼しているだけですが、実際の輸送は下請けの運送会社が行っている、というイメージです。

第一種と第二種の違い

貨物利用運送事業は、事業内容によって「第一種」と「第二種」に分かれます。

  • 第一種貨物利用運送事業:トラック・船舶・航空機・鉄道のいずれか一つの輸送モードを利用し、集配(荷物の受け取り・引き渡し)は行わない事業。国土交通大臣への登録で足ります。
  • 第二種貨物利用運送事業:船舶・航空機・鉄道による幹線輸送に加えて、自社のトラック等による集配を組み合わせ、荷主の戸口から届け先の戸口まで一貫して輸送を引き受ける事業(複合一貫輸送)。国土交通大臣の許可が必要で、審査もより厳格です。

一般貨物自動車運送事業とは

一般貨物自動車運送事業とは、自社が保有するトラック等の自動車を使用して、他人の需要に応じ有償で貨物を運送する事業です。根拠法は「貨物自動車運送事業法」で、国土交通大臣(実務上は地方運輸局長)の許可が必要です。営業所・車庫・車両(原則5台以上)の確保に加え、運行管理者・整備管理者の選任、一定の資金要件など、クリアすべき要件が多岐にわたります。いわゆる「実運送事業者」であり、貨物利用運送事業者が委託先として利用するのは、こうした実運送事業者です。

両者の違いを一覧で比較

項目第一種貨物利用運送事業第二種貨物利用運送事業一般貨物自動車運送事業
根拠法貨物利用運送事業法貨物利用運送事業法貨物自動車運送事業法
手続きの種類登録許可許可
自社車両不要集配用に必要必要(原則5台以上)
主な業務内容他社便を利用した運送の手配利用運送+自社集配の一貫輸送自社便による実運送
所管国土交通大臣(地方運輸局)国土交通大臣国土交通大臣(地方運輸局)

許可・登録手続きの流れ

一般貨物自動車運送事業の許可取得は、貨物利用運送事業の登録に比べて要件が多く、準備にも時間がかかります。おおまかな流れは次のとおりです。

STEP1:事業計画の策定

営業所・車庫の候補地選定、車両台数(原則5台以上)、運行管理体制などの事業計画を作成します。

STEP2:各種資格者の確保

運行管理者・整備管理者となる有資格者を確保します。運行管理者資格者証がない場合は、講習の受講や試験合格が必要です。

STEP3:資金計画の作成

所要資金の見積りと、その6か月分相当額を自己資金として確保できることを証明する資金計画を作成します。

STEP4:許可申請・審査

地方運輸局に許可申請書を提出します。標準処理期間は申請から約3〜4か月程度とされており、書類審査・法令試験(役員が対象)などを経て許可が下ります。

STEP5:許可後の手続き

許可取得後は、運輸開始前の届出、事業用自動車の登録(緑ナンバーへの変更)などを行い、実際の運輸を開始します。

一方、第一種貨物利用運送事業の登録は、登録免許税9万円の納付と、財産的基礎などの要件確認が中心で、一般貨物自動車運送事業の許可に比べると手続きの負担は軽くなります。ただし第二種の場合は、集配用の運送体制も合わせて審査されるため、一般貨物自動車運送事業に近い準備が必要になる点に注意が必要です。

⚠️ 注意しておきたいポイント

  • 名義貸しは禁止されています。登録・許可を受けた事業者名義を、実際には無関係な第三者に使わせる行為は法令違反となります。
  • 貨物利用運送事業者は、実際の輸送を他社に委託していても、荷主に対しては自らが運送人としての責任を負います。「委託先の問題だから」では済まされません。
  • 利用運送に加えて倉庫保管や梱包などの附帯業務を行う場合、業務内容によっては倉庫業の登録など別途の許可・登録が必要になる場合があります。事業内容を洗い出し、抜け漏れがないか確認しましょう。

💡 事業を検討する際のポイント

  • 貨物利用運送事業(第一種)は自社車両を持たずに参入できるため、初期投資を抑えて物流事業をスタートできるのが大きな魅力です。
  • ただし事業の質は、委託する実運送事業者(トラック運送会社等)の選定次第で大きく左右されます。信頼できる委託先の確保が事業成功のカギです。
  • 将来的に自社集配やトラック輸送まで手がけたい場合は、第二種貨物利用運送事業や一般貨物自動車運送事業への展開も視野に入れて、段階的に事業を広げる計画を立てておくとよいでしょう。

倉庫業を営むX社は、EC通販事業者からの発送代行依頼が増えたことをきっかけに、自社トラックを持たないまま第一種貨物利用運送事業の登録を取得しました。実際の配送は提携するトラック運送会社に委託し、X社は荷主との契約・請求・問い合わせ対応の窓口を担う形で、車両投資をせずに物流サービスの幅を広げることに成功しています。

まとめ

貨物利用運送事業と一般貨物自動車運送事業は、名前は似ていても「自社で運ぶか、他社に運んでもらうか」という点で根本的に異なる事業です。貨物利用運送事業はさらに第一種(登録制・単一輸送モード)と第二種(許可制・複合一貫輸送)に分かれ、要件の重さも変わってきます。どの形態が自社の事業計画に合っているのか、車両の有無・初期投資・将来の展開まで見据えて選ぶことが大切です。手続きに不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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※本記事の内容は、令和8年9月時点の法令等に基づいて作成しています。貨物利用運送事業・一般貨物自動車運送事業に関する要件は法改正等により変更される場合がありますので、実際の許可・登録手続きにあたっては、最新の情報を国土交通省・各地方運輸局の公表資料でご確認いただくか、専門家へご相談ください。また、運行管理者の選任や労働時間管理など、労務に関する手続きの一部は社会保険労務士の専管業務に該当し、行政書士の業務範囲外となりますので、あわせてご留意ください。

廣岡 慶之
フロル行政書士事務所 代表行政書士
フロル行政書士事務所 代表行政書士の廣岡慶之です。鉄道会社にて駅工事設計・官公署との調整など安全運行を支える業務に従事。その後、コンサルティング会社勤務を経て行政書士として独立。行政書士のほか、FP・IT資格・簿記を保有し、手続き支援にとどまらない経営・資産形成アドバイスが強みです。「想いを形に。未来を設計する。」をモットーに、起業から人生設計まで伴走型でサポートします。
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