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フロル行政書士事務所(横浜)
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「相続の話し合いって、どれくらいで終わるものなんですか?」
「弁護士さんに頼んだ方が、早く解決できるんですよね?」
相続のご相談で、こうしたご質問をいただくことがよくあります。今回は、最高裁判所の司法統計データをもとに、遺産分割の話し合いがどれくらいの期間かかるのか、そして「なぜ長引いてしまうのか」について、詳しく見ていきたいと思います。
所長 フロル「早く終わらせたい」という気持ちは、みなさん共通です。だからこそ、実際のデータを知っておくことが、心の準備につながります
家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち、話し合いが終わる(終局する)までにかかった期間を見てみましょう。
司法統計によれば、1年以内に終局する事件が多数派である一方、全体の3件に1件程度は1年を超えているのが実態です。中には2年を超えるケース、3年を超えるケースも一定数存在します。
「6ヶ月で終わると聞いていたのに、気づけば1年半経っていた」——これは、決して珍しいケースではありません。
⚠️ 注意したいポイント
「相続の話し合いは、だいたい半年〜1年くらいで終わるもの」というイメージをお持ちの方は多いのですが、実際には「1年以内に終わらない」ケースも、決して少数派ではないという点は、知っておいていただきたいところです。
同じ「遺産分割」であっても、数ヶ月で終わるケースもあれば、2年、3年とかかるケースもあります。この差は、どこから生まれるのでしょうか。
司法統計や裁判所の各種報告からは、長期化しやすい事件にはいくつかの共通した特徴があることが見えてきます。
① 不動産の評価をめぐる対立
遺産に不動産が含まれる場合、「その不動産をいくらと評価するか」で意見が割れることがあります。相続人ごとに「高く評価したい人」「低く評価したい人」の思惑が異なるため、鑑定を挟むなどして時間がかかりやすくなります。
② 特別受益・寄与分をめぐる主張
「兄は生前、家を買うときに援助してもらっていたはずだ」(特別受益)、「自分は長年、親の介護をしてきたのだから、多く相続すべきだ」(寄与分)——こうした主張が絡むと、金額だけでなく感情的な要素も加わり、話し合いが難航しやすくなります。
③ 遺産の範囲そのものが定まらない
「使途不明な預貯金の引き出しがある」「そもそも遺産に含まれる財産の全体像が分からない」など、遺産分割の前提となる財産の範囲自体が争点になるケースも、長期化の要因の一つです。
期日(話し合いの回数)の面から見ても、同様の傾向が見えてきます。5回以下で終わる事件が過半数を占める一方、長期化する事件では、期日が20回を超えるケースもあることが分かっています。
| 期日の回数 | 傾向 |
|---|---|
| 5回以下 | 過半数を占める、標準的なケース |
| 6〜10回程度 | 争点がいくつかあり、調整に時間を要するケース |
| 20回超 | 不動産評価・寄与分等、複数の争点が絡み合う長期化ケース |
ここで、一つ誤解されやすいデータについて、丁寧にお伝えしておきたいと思います。
司法統計を見ると、手続代理人弁護士が関与している事件の方が、関与していない事件よりも、平均審理期間が長いという傾向が示されています。
このデータだけを切り取ると、「弁護士に依頼すると、かえって長引いてしまうのでは」と受け取られてしまうかもしれません。しかし、これは早合点です。
💡 大切な考え方
このデータが示しているのは、「弁護士に頼んだから長引いた」ということではありません。むしろ順序は逆で、財産構成が複雑だったり、相続人同士の対立が根深かったりする、もともと長引きやすい難しい案件だからこそ、弁護士に依頼する傾向がある、と考えるのが自然です。
たとえるなら、「入院が長引いた患者ほど、専門医にかかっている割合が高い」というデータがあったとして、それは「専門医にかかったせいで入院が長引いた」という意味ではなく、「もともと重い症状だったからこそ、専門医にかかっている」ということですよね。今回のデータも、それと同じ構造だとご理解いただければと思います。
つまり、このデータは「弁護士に頼むかどうか」の話ではなく、もっと手前の段階、つまり「そもそも対立が深刻化する前に、何ができたか」という点にこそ、本当のヒントがあると言えます。
不動産の評価、特別受益、寄与分——これらは、いずれも家庭裁判所での話し合いが長期化する典型的な争点です。しかし、これらの多くは、実は相続が起きる前、あるいは相続人同士がまだ冷静に話せる段階であれば、対立を防げた可能性のある論点でもあります。
こうした準備は、紛争が起きてから弁護士に依頼して解決するものではなく、紛争そのものを起こさないために、私たち行政書士がお手伝いできる領域です。
⚠️ ここが分かれ道
「相続人同士、今のところ揉めていない」という段階こそ、実は一番対策がしやすいタイミングです。対立が表面化してからでは、選べる選択肢は大きく狭まってしまいます。
私たち行政書士は、遺言書の作成支援や、相続人同士に争いがない場合の遺産分割協議書の作成を主な業務としています。これらはまさに、今回のデータで見てきたような「長期化の火種」を、事前に取り除いておくための仕事だと考えています。
もちろん、すでに相続人同士の意見が対立し、話し合いがまとまらない「紛争性のある」案件については、弁護士法の定めにより、行政書士が代理人として交渉することはできません。そうした状態になってしまった場合には、早い段階で弁護士の先生をご紹介させていただきます。
ただ、私たちが本当にお役に立てるのは、そうなる前の段階です。「まだ何も起きていないけれど、将来が少し心配」という今のうちにご相談いただくことこそが、司法統計が示す”長期化”を避ける、最も確実な方法だと考えています。
相続の話し合いが長引きそうだと感じたら、お一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。状況に応じて、適切な専門家へのご案内も行っております。
本記事は、最高裁判所「司法統計年報 家事編」等の公表データをもとに作成しています。個別の相続案件における審理期間や対応方針については、弁護士等の専門家にご相談ください。本記事は令和6年時点の統計データに基づいています。

