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フロル行政書士事務所(横浜)
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「うちは財産なんてないから、揉めることはないでしょう」
相続のご相談で、よくこう言われることがあります。しかし、実際の裁判所のデータを見ると、この認識には注意が必要かもしれません。今回は、裁判所が公表している司法統計をもとに、相続トラブルの実態についてお伝えします。
所長 フロル「うちは大丈夫」と思っている方にこそ、知っていただきたいデータです
家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件(調停・審判)の件数は、長期的に増加傾向にあります。
令和6年の遺産分割事件の新受件数は、調停17,013件、審判2,537件、合計19,550件にのぼります。これは、平成27年の合計14,993件と比べて約30.4%の増加、平成7年の9,728件と比べると、約2倍の水準です。
高齢化が進む中、相続トラブルは決して他人事ではなく、年々身近な問題になっているということが、このデータから見えてきます。
ここで、多くの方が誤解しているポイントがあります。「相続で揉めるのは、莫大な財産がある家庭だけ」というイメージです。
しかし、実際の司法統計を見ると、状況は異なります。遺産分割事件のうち、認容・調停成立に至った事件を遺産価額別に見ると、「1,000万円以上5,000万円以下」の遺産が最も多く、次いで「1,000万円以下」の事件が続きます。合計すると、遺産額5,000万円以下の事件が、全体の7割近くを占めているのです。
⚠️ つまり
遺産分割トラブルは、「莫大な資産を持つ一部の富裕層」の話ではなく、マイホームと、いくらかの預貯金がある、ごく一般的なご家庭でも十分に起こりうる問題だということです。むしろ、財産が現金化しにくい不動産中心である場合、分け方をめぐって話し合いが難航しやすいという側面もあります。
もう一つ、注目したいデータがあります。遺産分割事件における当事者(相続人)の人数です。
令和5年の司法統計によれば、当事者数が「2名」の事件が最も多く、次いで「3名」「4名」と続きます。2〜4名という、ごく一般的な家族構成のケースが、全体の約7割を占めているのです。
「相続人がたくさんいるから揉める」というイメージを持たれがちですが、実際には、兄弟姉妹2〜3人という、どこの家庭にもありそうな構成での争いが最も多いというのが実態です。
財産が多くないからこそ、かえって話し合いが難航することがあります。
実際に遺産分割調停・審判に至った場合、その解決までにかかる時間も見ておきたいポイントです。令和6年のデータでは、終局までの期間が1年を超えた事件が32.5%にのぼります。
家族関係が悪化した状態のまま、1年以上にわたって話し合いが続く——これは、金銭的な負担以上に、精神的な負担が大きいものです。
よくあるケース①
都内近郊にマイホームを持つAさん(80代)が亡くなり、相続人は長男・長女の2人。遺産は自宅(評価額約3,000万円)と預貯金500万円ほどでした。
「実家に住み続けたい」という長男と、「同じくらいの価値のものを現金で欲しい」という長女の間で意見が食い違い、話し合いは平行線に。結局、家庭裁判所での調停に発展し、解決までに1年以上を要しました。
不動産という「分けにくい財産」が中心だったことが、揉める大きな要因になったケースです。
よくあるケース
Bさん(70代)が亡くなり、相続人は長男・次男・長女の3人。遺産は預貯金1,500万円ほどで、不動産はありませんでした。
一見、現金なので分けやすそうに思えますが、揉めたのは金額の話ではありませんでした。長年、実家近くに住んで親の介護をしていた長女が「自分は他の兄弟より多く相続すべきだ」と主張したのに対し、離れて暮らしていた長男・次男は「法律通り均等に分けるべき」と反論。
「誰がどれだけ親に尽くしたか」という感情的な要素が絡むと、金額の大小にかかわらず話し合いが難航しやすいことを示すケースです。
こうしたデータから見えてくるのは、「うちは大丈夫」という思い込みこそが、実はリスクであるということです。
こうした準備は、決して「財産持ちのための特別な対策」ではなく、どのご家庭にとっても、意味のある備えだと言えます。「争族」を防ぐ一番の近道は、揉める前の早めの対策です。
「うちには関係ない」と思わず、早めに家族で話し合っておくことが、将来のトラブルを防ぐ第一歩です。相続対策・遺言書の作成についてお悩みの方は、まずは、お気軽にご相談ください。
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免責事項
本記事は、最高裁判所「司法統計年報 家事編」(令和5年・令和6年)等の公表データをもとに作成しています。個別の相続対策については、専門家にご相談ください。

