相続登記、令和9年3月末までの期限にご注意を。「知らなかった」では済まされない義務化のポイント

相続登記の義務化と令和9年3月末の期限について説明するフロル行政書士事務所のイメージイラスト

✏️ この記事の執筆者

フロル行政書士事務所(横浜)
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「うちの実家、名義が祖父のままだった…」

「相続登記っていつかやればいいと思っていたけど、もう期限が来ているって聞いてびっくり…」

「令和9年3月末までにやらないといけないって本当?何十年も前の相続でも関係あるの?」

そんな不安の声を、フロル行政書士事務所でも数多くいただいています。実は令和6年4月1日から相続登記が義務化され、しかも過去に発生した相続にもこのルールが適用されます。「うちは何十年も前に相続が発生したから関係ない」と思っている方こそ、要注意です。

所長 フロル

えっ、うちの実家、おじいちゃん名義のままだった…!というご相談、実はとっても多いんです。今日は期限と対処法、一緒に整理していきましょう!

「うちは関係ない」と思っていませんか?相続登記義務化の基本

令和6年4月1日から、相続登記の申請が法律上の義務となりました(不動産登記法第76条の2)。これまでは相続した不動産の名義変更(相続登記)は任意で、名義を変えないまま何十年も放置されているケースも珍しくありませんでした。しかし現在は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をしなければならないというルールに変わっています。

正当な理由なくこの申請を怠ると、10万円以下の過料(不動産登記法第164条第1項)が科される可能性があります。なお過料はあくまで行政上の制裁であり、刑事罰である罰金とは異なりますが、「知らなかった」では済まされない点に変わりはありません。

⚠️ 過去の相続にも遡って適用される「令和9年3月末」の期限

今回の義務化で特に見落とされがちなのが、施行日(令和6年4月1日)より前に発生した相続も、義務化の対象に含まれるという点です。

すでに発生している過去の相続については、猶予期間が設けられており、令和9年(2027年)3月31日までに相続登記を申請しなければなりません。「祖父の代からずっと名義変更していない」「何十年も前に亡くなった親の家がそのままになっている」という方は、この令和9年3月末の期限が目前に迫っていることになります。

「実家は祖父の名義のまま、もう30年以上放置していました。父が亡くなったときも特に手続きをしなかったのですが、今回相談してみたら、祖父・父と二段階の相続が発生していて、相続人だけで10人以上に…。想像以上に時間がかかることが分かり、早めに動いてよかったです。」(60代・ご相談者様)

過料だけじゃない、放置することの本当のリスク

相続登記を先延ばしにするデメリットは、過料だけではありません。名義が亡くなった方のままになっていると、その不動産を売却したり、金融機関の担保に入れたりすることができません。「実家を売って介護費用に充てたい」「空き家になった実家を活用したい」と思っても、まず名義変更を済ませなければ何も動かせないのです。

さらに厄介なのが、相続登記をしないまま時間が経つほど、相続人の数が増えていくという問題です。最初の相続人であるお子さんがさらに亡くなり、その配偶者やお子さんが相続人に加わる、といった「数次相続」が重なると、相続人が10人、20人を超えることも珍しくありません。連絡先が分からない相続人や、疎遠になっている親戚が出てくると、遺産分割協議そのものが難航してしまいます。

💡 放置期間が長引くほど、相続人調査に必要な戸籍謄本の通数も増え、費用と時間の両方がかさんでいきます。早めに着手することが、結果的に最も負担の少ない選択になるケースがほとんどです。

令和8年4月1日から、住所や氏名の変更登記も義務化

さらに注意したいのが、令和8年4月1日から新たに義務化される「住所等変更登記」です。結婚や転居などで登記上の氏名・住所に変更があった場合、変更があった日から2年以内に変更登記を申請する義務が生じます。違反した場合は5万円以下の過料の対象となります。

相続登記の義務化については、2025年の調査(いい相続実施)で約86%の方が「知っている、または聞いたことがある」と回答している一方、この住所・氏名変更登記の義務化まで正確に把握している方はまだ多くありません。ご自身やご家族名義の不動産で、結婚前の旧姓や以前の住所のまま登記されているものがないか、この機会に確認しておきましょう。

制度施行日期限の目安過料
相続登記の義務化令和6年4月1日相続を知った日から3年以内(過去の相続は令和9年3月31日まで)10万円以下
住所等変更登記の義務化令和8年4月1日変更があった日から2年以内5万円以下

💡 遺産分割が終わっていない場合の救済策「相続人申告登記」

「相続人同士でまだ話し合いがまとまっていない」「誰がどの不動産を相続するか決まっていないのに、期限だけ迫っている」という場合のための応急措置として、令和6年4月から「相続人申告登記」という制度が設けられています。

これは、自分が対象不動産の相続人であることを法務局に申し出るだけで、ひとまず相続登記の申請義務を果たしたことにできる制度です。

STEP1 対象の不動産を確認する

亡くなった方名義の不動産と、自分がその相続人であることを確認します。

STEP2 必要書類を準備する

申出人が相続人であることが分かる戸籍謄本など(遺産分割協議書のような相続人全員の合意書類までは不要です)。

STEP3 法務局へ申出をする

不動産の所在地を管轄する法務局に申出を行います。

STEP4 後日、遺産分割が成立したら本来の登記へ

遺産分割が成立した日から3年以内に、改めて正式な相続登記を申請する必要があります。相続人申告登記はあくまで一時的な義務の回避策であり、最終的な名義変更ではない点に注意しましょう。

令和8年2月2日開始「所有不動産記録証明制度」で名義漏れを一括チェック

「亡くなった親がどこにどんな不動産を持っていたか分からない」というケースも少なくありません。こうした声に対応するため、令和8年2月2日から「所有不動産記録証明制度」がスタートします。これは、特定の方名義の不動産を全国一括で検索し、一覧で証明書として取得できる制度で、手数料は窓口で1通1,600円です。

⚠️ ただし、この制度にも限界があります。旧姓や旧住所のまま登記されている不動産や、そもそも登記自体がされていない未登記の建物は、検索の対象外となる場合があります。「証明書に載っていなかったから不動産はない」と即断せず、権利証や固定資産税の納税通知書なども合わせて確認することをおすすめします。

相続登記に向けて、まず何を準備すればいい?

相続登記(の前段階となる相続人調査・遺産分割協議書の作成)に向けては、一般的に次のような書類が必要になります。

  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本一式
  • 相続人全員の戸籍謄本・住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書付き)
  • 対象不動産の固定資産評価証明書、登記事項証明書

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場でしか取得できず、転籍を繰り返している方の場合は複数の役場に請求が必要になるなど、想像以上に手間がかかります。この点については関連記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

行政書士にできること、できないこと

ここで正直にお伝えしなければならないのは、相続登記の申請そのものは司法書士の独占業務であり、行政書士が代理で登記申請を行うことはできないという点です。

フロル行政書士事務所を含め、行政書士が対応できるのは、相続登記の「前段階」にあたる部分です。具体的には、戸籍謄本等を収集しての相続人調査、相続関係説明図の作成、相続人間で行う遺産分割協議書の作成といった業務が中心となります。実際の登記申請の段階では、提携する司法書士と連携し、スムーズに手続きを引き継ぐ形で進めています。「まず何から手をつけたらいいか分からない」という段階からご相談いただければ、必要な書類収集や協議書の作成をサポートしつつ、登記が必要な場面では信頼できる司法書士におつなぎすることが可能です。

まとめ

相続登記の義務化は、令和6年4月1日以降に発生した相続だけでなく、それより前に発生した過去の相続にも適用され、令和9年3月31日という期限が目前に迫っています。さらに令和8年4月1日からは住所・氏名変更登記も義務化され、うっかり期限を過ぎると過料の対象になってしまいます。「うちは昔の相続だから」「話し合いがまとまっていないから」と後回しにせず、まずは対象不動産の確認と相続人調査から始めてみましょう。

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免責事項

本記事の内容は、投稿時点(令和8年9月)の情報に基づいて作成しています。法令の改正や制度の運用状況により内容が変更される場合がありますので、実際の手続きにあたっては、法務局や専門家に最新の情報をご確認ください。また、相続登記の申請手続きそのものは司法書士の独占業務であり、行政書士が代理で行うことはできません。当事務所では相続人調査や遺産分割協議書の作成等をサポートし、登記申請については提携する司法書士と連携して対応しております。

廣岡 慶之
フロル行政書士事務所 代表行政書士
フロル行政書士事務所 代表行政書士の廣岡慶之です。鉄道会社にて駅工事設計・官公署との調整など安全運行を支える業務に従事。その後、コンサルティング会社勤務を経て行政書士として独立。行政書士のほか、FP・IT資格・簿記を保有し、手続き支援にとどまらない経営・資産形成アドバイスが強みです。「想いを形に。未来を設計する。」をモットーに、起業から人生設計まで伴走型でサポートします。
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