電気通信事業を始めるなら要チェック、届出と登録の違い

電気通信事業を始めるなら要チェック|フロル行政書士事務所

✏️ この記事の執筆者

フロル行政書士事務所(横浜)
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「うちのサービス、インターネット回線を使ったビジネスなんですが、何か届出は必要ですか?」

こうしたご相談を受けることがあります。近年、クラウドサービス、VoIP(インターネット電話)、Wi-Fiレンタル、MVNO(格安SIM)事業など、通信インフラを活用したビジネスが増えていますが、こうした事業の中には、電気通信事業法に基づく「届出」や「登録」が必要になるものがあります。

今回は、電気通信事業の届出・登録制度について、どのような場合に手続きが必要になるのか、その基本的な考え方を整理してご紹介します。


所長 フロル

“通信を使ったビジネス”と一口に言っても、届出が必要なものと不要なものがあるんです。分かりやすく整理していきますね!


目次

電気通信事業とは何か

電気通信事業法では、「電気通信事業」を、電気通信役務(他人の通信を媒介する、あるいは他人の通信の用に供する電気通信設備を提供するサービス)を他人の需要に応じて提供する事業と定義しています。分かりやすく言うと、自社の設備やサービスを使って、他人同士の通信を仲介したり、通信に必要な設備を他人に提供したりするビジネスが対象になるイメージです。

代表的な例としては、次のようなものが挙げられます。

  • インターネットサービスプロバイダ(ISP)事業
  • MVNO(自社で基地局を持たず、大手キャリアの回線を借りて通信サービスを提供する事業)
  • IP電話・VoIP関連サービス
  • クラウドサービスのうち、通信の媒介機能を含むもの
  • Wi-Fiルーターのレンタル・シェアリングサービス(提供形態によって扱いが異なります)

一方で、自社内でのみ利用する社内ネットワークの構築や、単なる物品としての通信機器の販売など、他人の通信を媒介する要素がない事業は、電気通信事業には該当しません。

「届出」と「登録」、何が違うのか

電気通信事業を営もうとする場合、その事業の規模や性質によって、「届出」で足りるものと、「登録」が必要なものに分かれます(電気通信事業法9条・16条)。

  • 登録が必要な電気通信事業
    主に、他の電気通信事業者の設備を経由せずに回線を設置する事業者(回線設備を自ら保有・設置する事業者)のうち、一定規模以上のもの。回線設備を用いた事業への影響が大きいため、より厳格な審査(欠格事由の確認等)を経る登録制が採用されています
  • 届出で足りる電気通信事業
    登録が必要な規模に達しない事業や、他の事業者の回線を借りて役務を提供する事業者(MVNO等の多くはこちらに該当)。開始前に総務大臣(実務上は地方総合通信局)へ届出を行うことで、事業を開始できます

なお、電気通信事業を営む者のうち、その事業の規模が電気通信事業法施行規則で定める基準に満たない小規模な事業者については、届出義務そのものが免除される場合もあります(登録・届出の対象外となる小規模事業者の基準が定められています)。自社の事業規模がこの基準に該当するかどうかは、個別に確認が必要です。

よくある事例
クラウド型の電話システム(IP-PBX)を提供する事業を始めた事業者が、「クラウドサービスだから通信事業には該当しないだろう」と考えて特に手続きを行わなかったところ、実際にはサービスの内容が他人の通信を媒介する機能を含んでおり、電気通信事業の届出が必要な事業に該当していたケースがあります。サービスの名称や見た目だけでなく、実際の機能に基づいて該当性を判断する必要があります。

届出・登録の要否を判断する際のポイント

自社の事業が届出・登録の対象になるかどうかを判断する際は、次のような観点を確認することが重要です。

  • 他人の通信を媒介する機能を持っているか
    単なる自社サービスの提供にとどまらず、利用者同士、あるいは利用者と第三者との通信を媒介する要素があるか
  • 回線設備を自社で保有しているか、他の事業者の設備を借りているか
    自社で回線設備を持つ場合は登録の対象になりやすく、借りる場合は届出で足りることが多い
  • 事業規模が、小規模事業者として届出義務の対象外となる基準に該当するか
  • 提供するサービスが、電気通信事業法上の「電気通信役務」に該当する機能を持っているか
    (単なるコンテンツ提供やアプリケーションの提供にとどまる場合は、該当しないこともあります)

これらの判断は、サービスの技術的な仕組みに関する理解が必要になる部分も多く、事業者自身での判断が難しいケースも少なくありません。

届出を怠った場合のリスク

電気通信事業の届出・登録が必要であるにもかかわらず、これを行わずに事業を開始した場合、電気通信事業法違反として、罰則(懲役または罰金)の対象になる可能性があります。また、行政からの是正指導や、事業の停止を求められることもあり、事業継続に大きな影響を及ぼしかねません。

新しい通信系のサービスを立ち上げる際は、サービス設計の初期段階から、電気通信事業法上の該当性を確認しておくことが望ましいといえます。事業の仕組みが固まってから確認すると、届出が必要と判明した場合に、サービスの提供方法自体を見直さなければならないこともあります。

届出・登録の手続きの流れ

届出が必要な場合、おおむね次のような流れで手続きを進めます。

  1. 提供するサービスの内容を整理し、届出対象に該当するかを確認する
  2. 電気通信事業届出書、事業計画書などの必要書類を作成する
  3. 総務省(管轄の総合通信局)へ届出書類を提出する
  4. 受理後、届出番号が付与され、事業を開始できる

登録が必要な事業の場合は、届出よりも審査項目が多く、拒否事由(欠格事由に該当しないか等)の確認を経て登録が行われるため、手続き完了までの期間も長くなる傾向があります。事業開始のスケジュールを立てる際は、この点も踏まえて余裕を持った計画にすることをおすすめします。

よくある質問(Q&A)

Q. 単なる自社ホームページの運営や、SaaS型の業務システムの提供も、電気通信事業に該当しますか?
A. 多くの場合、該当しません。他人の通信を媒介する機能を持たない、単なるコンテンツ提供・アプリケーション提供のサービスは、電気通信事業には当たらないのが一般的です。ただし、チャット機能やメッセージング機能など、通信を媒介する要素を含む場合は、個別に確認が必要です。

Q. 届出をした後、事業内容を変更する場合、何か手続きは必要ですか?
A. 届出事項に変更が生じた場合、変更の届出が必要になることがあります。サービス内容を大きく変更する際は、都度確認することをおすすめします。

Q. 届出にはどのくらいの費用・期間がかかりますか?
A. 届出自体に登録免許税等の費用はかかりませんが、書類作成や事業計画の整理には一定の準備期間が必要です。登録が必要な事業の場合は、審査期間も含めて数か月単位のスケジュールを見込んでおくことをおすすめします。

行政書士に相談するメリット

電気通信事業の届出・登録の要否は、サービスの技術的な仕組みや提供形態によって判断が分かれる部分が多く、事業者自身での判断には専門的な知識が必要です。当事務所では、第一級陸上無線技術士や電気通信主任技術者の資格を活かし、無線局免許だけでなく、電気通信事業に関する届出・登録のご相談にも対応しております。新しい通信系サービスの立ち上げを検討する段階で、早めにご相談いただくことをおすすめします。

まとめ

通信インフラを活用したビジネスの中には、電気通信事業法に基づく**「届出」または「登録」**が必要になるものがあります。他人の通信を媒介する機能を持つかどうか、回線設備を自社で保有するかどうかが、判断の大きなポイントです。サービス設計の初期段階から該当性を確認しておくことで、後から事業の仕組みを見直すリスクを避けることができます。

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本記事は令和8年8月時点の情報に基づいて作成しています。電気通信事業法や関連規則は改正される場合がありますので、実際の手続きにあたっては、必ず最新の法令・総合通信局の見解をご確認ください。また、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の届出・登録の要否を保証するものではありません。


廣岡 慶之
フロル行政書士事務所 代表行政書士
フロル行政書士事務所 代表行政書士の廣岡慶之です。鉄道会社にて駅工事設計・官公署との調整など安全運行を支える業務に従事。その後、コンサルティング会社勤務を経て行政書士として独立。行政書士のほか、FP・IT資格・簿記を保有し、手続き支援にとどまらない経営・資産形成アドバイスが強みです。「想いを形に。未来を設計する。」をモットーに、起業から人生設計まで伴走型でサポートします。
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