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フロル行政書士事務所(横浜)
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「遺言書、そろそろ作っておいた方がいいとは思っている」
「でも、自分で書く『自筆証書遺言』と、公証役場で作る『公正証書遺言』、結局どっちを選べばいいの…?」
「法務局に預けられる制度があるって聞いたけど、それって公正証書遺言と何が違うの?」
遺言書の準備を考え始めると、こうした疑問にぶつかる方は少なくありません。実は、公正証書遺言は年間12万件を超えるペースで作成されており、過去10年の中でも高い水準で推移しています。この記事では、公正証書遺言と自筆証書遺言書保管制度、それぞれの特徴と違いを数字とともに整理し、どちらを選ぶべきかの判断材料をお伝えします。
所長 フロル遺言書の制度、実はいくつかあって混乱しますよね。今日はその違いをスッキリ整理していきましょう!
日本公証人連合会の発表によると、公正証書遺言の作成件数は以下のように推移しています。
| 年 | 作成件数 |
|---|---|
| 平成27年(2015年) | 11万0,778件 |
| 令和2年(2020年) | 9万7,700件 |
| 令和6年(2024年) | 12万8,378件 |
| 令和7年(2025年) | 12万3,891件(前年より約4,500件、約3.5%減) |
令和7年は前年からやや減少したものの、過去10年の中でも高い水準で推移していることが分かります。「遺言書を作る」という選択が、以前よりも身近になってきていると言えそうです。
遺言書の作成方法としてよく比較されるのが「公正証書遺言」と、法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」です。まずは全体像を表で整理しましょう。
| 項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言書保管制度 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 公証人が内容を確認して作成 | 本人が自筆で作成し、法務局に保管を申請 |
| 内容のチェック | 公証人が関与(形式不備のリスクが小さい) | 法務局は形式面の外形的な確認のみ(内容の有効性は審査しない) |
| 検認手続き | 不要 | 不要 |
| 原本の保管 | 公証役場(紛失・改ざんの心配が小さい) | 法務局 |
| 字が書けない場合 | 公証人の出張等により作成可能 | 基本的に自筆が必要 |
| 費用 | 公証人手数料(財産額に応じて政令で規定) | 比較的低額 |
| 手続き場所 | 公証役場 | 本人が法務局へ出頭する必要あり |
自筆証書遺言書保管制度は令和2年7月10日に始まった比較的新しい制度で、保管申請件数は累計で10万件を超えました。一方、年間でみると2万件前後で推移しているとされ、公正証書遺言の年間12万件超と比べると数倍の開きがあります。
ここで注意したいのは、この件数の差が、公正証書遺言の方が優れているということを意味するわけではないという点です。制度の知名度や利用のしやすさ、始まった時期の違いなど、複数の要因が考えられます。
さらに重要なのは、この比較が「作られた遺言書全体」の数ではなく、公証役場と法務局という、公的機関で把握できる件数の比較にすぎないということです。自筆証書遺言を自宅で保管している方も多く、その数については統計が存在しません。つまり、実際に作成されている遺言書の総数は、この2つの制度の件数を合計した数よりもさらに多いと考えられます。
公正証書遺言には、実務上次のようなメリットがあります。
費用については、公証人手数料(財産の額に応じて政令で定められた手数料)がかかります。具体的な金額は財産の内容によって変わるため、公証役場や日本公証人連合会の案内で確認することをおすすめします。
一方、自筆証書遺言書保管制度にも次のような利点があります。
ただし、申請には本人が法務局に出頭する必要があるという点も押さえておきたいポイントです。
公正証書遺言は、おおむね次のようなステップで進みます。
STEP1. 遺言の内容を整理する
誰に、どの財産を、どのように遺すかを検討します。
STEP2. 必要書類を収集する
戸籍謄本、財産に関する資料(不動産の登記事項証明書、預貯金の情報など)を準備します。
STEP3. 証人2名を確保する
公正証書遺言の作成には、利害関係のない証人2名の立ち会いが必要です。
STEP4. 公証人と日程調整を行う
事前に内容を伝え、作成日時を決めます。
STEP5. 公証役場で遺言書を作成する
公証人が内容を読み上げ、本人・証人が署名押印して完成します。
「親の介護を長男である自分が担ってきたのに、遺言書がなければ法定相続分どおりに分けることになってしまうかもしれない」。こうしたご相談はよくあります。実際、口頭で「長男に多めに遺したい」と家族に伝えていても、法的な効力を持つ遺言書がなければ、相続の場でその意向が実現されるとは限りません。あるご家庭では、自筆証書遺言を自宅の引き出しに保管していたものの、相続開始後にその存在に気づかれず、結果的に法定相続分で分割が進んでしまったというケースもありました。こうした事態を避けるためにも、遺言書の作成方法や保管場所は慎重に検討する必要があります。
ここまで見てきたとおり、公正証書遺言と自筆証書遺言書保管制度には、それぞれに利点があります。どちらが絶対的に優れているというものではありませんが、判断の分かれ目になりやすいポイントを挙げると次のとおりです。
こうした事情に当てはまる方は、公正証書遺言を選ぶことで安心感が高まるケースが多いと言えます。迷った場合は、まず公正証書遺言を軸に検討してみることをおすすめします。
遺言書作成にあたり、行政書士は次のような場面でサポートが可能です。
一方で、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の独占業務であり、遺言の内容に税務判断が絡む場合(相続税の試算など)は税理士の領域です。また、相続人間で争いがある場合の代理・交渉は弁護士の業務となります。実際の手続きでは、必要に応じてこれらの専門家と連携しながら進めることになります。
公正証書遺言は年間12万件を超え、過去10年でも高い水準で作成されています。自筆証書遺言書保管制度も累計10万件を超え、着実に利用が広がっていますが、この2つの数字はあくまで公証役場と法務局で把握できる件数の比較であり、どちらが優れているかを示すものではありません。それぞれの特徴を踏まえたうえで、財産の内容や相続人の状況に不安がある方は、公正証書遺言を軸に検討してみてはいかがでしょうか。
本記事の内容は、投稿時点(令和8年10月)の情報に基づいて作成しています。

