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フロル行政書士事務所(横浜)
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「うちの相続は、実家の土地と、あとは預金通帳が少しあるだけ」「不動産がないから、相続はシンプルなはず」「現金だけなら揉めようがないだろう」ー相続と聞くと、こんなイメージを持っている方は少なくないのではないでしょうか。
ところが、国税庁が毎年公表している「相続税の申告事績の概要」のデータを見てみると、この20年ほどで相続財産の中身は大きく様変わりしていることが分かります。土地の割合は年々下がり続ける一方、現金・預貯金や有価証券の割合はじわじわと増え続けているのです。
「現金なら分けやすくて楽そう」と思うかもしれません。しかし実はこの変化、相続を単純にするどころか、新しいタイプの難しさを生み出してもいます。今回は、国税庁の統計データをもとに相続財産の構成がどう変わってきたのかを確認しながら、そこに潜む落とし穴について解説します。
所長 フロル相続財産って、今や「土地より現金」の時代なんですよ〜。でも現金が増えたら増えたで、実は新しい悩みも出てくるんです…!
相続財産にはさまざまな種類がありますが、国税庁の「相続税の申告事績の概要」では、申告された相続財産の金額を「土地」「現金・預貯金等」「有価証券」などに分類し、それぞれの構成比を公表しています。平成20年分から令和6年分までの推移を見てみましょう。
| 年分 | 土地 | 現金・預貯金等 | 有価証券 |
|---|---|---|---|
| 平成20年 | 49.6% | 21.5% | 13.3% |
| 平成27年 | 38.0% | 30.7% | 14.9% |
| 令和元年 | 34.4% | 33.7% | 15.2% |
| 令和6年 | 30.2% | 34.9% | 17.8% |
出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」、「令和元年分 相続税の申告事績の概要」、「平成27年分の相続税の申告状況について」等、各年の相続税の申告事績資料
平成20年には相続財産の約半分(49.6%)を占めていた土地は、その後も一貫して低下を続け、令和元年には34.4%、令和6年には30.2%となりました。この20年でピーク時の約6割の水準まで減少しており、長期的な低下トレンドにあることは間違いありません。地価の動向や、都市部への人口集中、実家を手放して現金化する動きなど、背景にはさまざまな要因が考えられます。
一方で存在感を増しているのが、現金・預貯金等です。平成20年の21.5%から一貫して上昇を続け、令和元年には33.7%、令和6年には34.9%に達しました。相続財産に占める現金・預貯金の割合は、この20年で約1.6倍に増加したことになります。
有価証券の割合も、13.3%から17.8%へと緩やかに増加しています。新NISA制度の普及などを背景に、株式や投資信託といった金融商品を保有する方が増えていることが影響していると考えられます。
「相続財産といえば実家の土地」というイメージは、統計的には薄れてきていることがお分かりいただけたと思います。ただし、ここで注意していただきたいのは、この変化が「相続が揉めにくくなった」ことを意味するわけではないという点です。むしろ、現金・預貯金や有価証券の増加は、新しい形の相続の難しさを生み出しています。
現金・預貯金が複数の金融機関に分散しているケースは珍しくありません。メガバンク、地方銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行、さらにはネット銀行まで、お亡くなりになった方がどの金融機関に口座を持っていたのか、相続人がすぐに把握できないことがよくあります。
ネット銀行やネット証券は、紙の通帳や取引報告書を発行しないことが一般的です。そのため、ご本人が亡くなった後、遺族がパソコンやスマートフォンの中を確認しない限り、口座や証券口座の存在そのものに気づけないという新しい課題が生まれています。
「父が亡くなって半年ほど経ってから、使っていたパソコンの中からネット証券のログイン画面を見つけました。もし気づかずにいたら、数百万円の株式がそのまま放置されるところでした」(ご相談者様の体験談より)
このような事例は決して珍しいものではなく、デジタル化が進むほど今後さらに増えていくと考えられます。
相続財産の「現金化」「デジタル化」が進む時代だからこそ、相続が発生した際には、資産の洗い出しを丁寧に行うことが重要です。基本的な進め方をSTEP形式でご紹介します。
通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物、証券会社からの取引報告書、パソコンやスマートフォンに保存されたメールやブックマークなど、あらゆる手がかりを確認します。
手がかりとなる金融機関が見つかったら、残高証明書や取引履歴の開示を請求します。心当たりのある金融機関がない場合でも、主要な銀行・証券会社に順番に照会をかける「ローラー作戦」が有効な場合があります。
相続財産の調査は、戸籍謄本の収集や相続人の確定作業と並行して進める必要があり、手続きが煩雑になりがちです。調査に漏れがあると、遺産分割協議のやり直しが必要になることもあるため、早い段階で行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
国税庁のデータを見ると、相続財産に占める土地の割合はこの20年で大きく低下し、代わって現金・預貯金や有価証券の割合が増加していることが分かります。「相続財産=実家の土地」というイメージは、もはや過去のものになりつつあるのかもしれません。
ただし、現金化・デジタル化が進んだからといって、相続が簡単になったわけではありません。資産が複数の金融機関やネット口座に分散し、相続人が存在に気づきにくくなっているという、新しい形の難しさが生まれています。「うちは不動産がないから大丈夫」と油断せず、早めに資産の洗い出しを行うことが、スムーズな相続への第一歩です。
※本記事の内容は、投稿時点(令和8年10月)の情報に基づいて作成しています。統計データは国税庁が公表した資料をもとにしており、今後更新される可能性があります。最新の情報は国税庁の公表資料をご確認ください。

